すっぽん心中

著者 :
  • 新潮社 (2013年8月30日発売)
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本棚登録 : 217
感想 : 36
4

戌井昭人氏の「すっぽん心中」を読了。軽い内容の短編が収められているだけなのであっという間に読み終わってしまった。

戌井昭人氏の著作は人を食ったというか、いい加減というか文章に何と言いたらよいのかわからないが不思議な魅力がある。だが書かれている物語自体が本当にくだらなく人にはお勧めできない内容でありその筋も面白いと言ったらよいのかどうかわからなくなる不思議な本が彼の作品には多い。

 いあままで著者の本をどれくらい読んだのか電子書棚を確認してみたらいあままでなんと「ぴんぞろ」「どろにやいと」「まずいスープ」「ひっ」と
4冊も読んでいることが判明。なぜそんなにかと考えてみたが彼が5回も芥川賞候補になり5回落選しているからだということに気づいた。

 やはり各賞の選者が注目している作品として、各賞の候補作品はなるべく手に入れるようにして読んできたので、彼は5回も芥川賞の候補になっているのでしかるに4冊も読んでしまったわけだ。

 彼の作品の魅力は読んだ後の脱力感だ。ちょっと小ばかにされたような気がしながらも読み終えるとか肩に力が抜けていてリラックスしている自分に気づくというのが彼の作品がもたらしてくれる変な作用である。

 なぜちょっと過激で、かなり馬鹿馬鹿しく、でも読後の脱力感をもたらしてくれる作風なのかをちょっと考えてみたがたぶんに彼が下北沢のスズナリ劇場などで公演しているパフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」の劇作家でもあるからではないかという結論に至った。小劇場の不思議な空間での時間で観客を魅了するものを考えて言葉を踏むぐ努力をしていくうちに自然と身についた彼独自のコミュニケーションのとり方なのだろう。ということで、ちょといろいろ考えすぎて、軽い本を読んで笑いたいお思っている人には結構おすすめです。お堅い方はやめたほうがよいかと。

 そんな僕の大好きな役者山田孝之主演でショートムービーをとってほしくなるような笑い話を集めた作品を読むBGMに選んだのがJimmy Smithの”Christmas cookin’"。力の入ってない脱力感あふれるクリスマスアルバムです。https://www.youtube.com/watch?v=IPT-XW7CDtg

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感想投稿日 : 2017年12月18日
本棚登録日 : 2017年12月13日

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