([た]1-2)おそすぎますか? Tanabe Seiko (ポプラ文庫 た 1-2 Tanabe Seiko Collection)

著者 :
  • ポプラ社 (2008年10月3日発売)
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感想 : 15
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ポプラ文庫の「田辺聖子コレクション」、第2巻です。カバーイラストは全部描いているのかな…と思っていたら、コラージュだとわかってまた素敵感が。この巻はお仕事と恋人、あるいは夫との距離感がテーマ。女性のがんばり感や心情の描写はもちろんのこと、女性の転勤や多忙、自分の失職にイラつく男性の描きかたの絶妙さがお見事です。お互いのチクチクした痛さや、ふふっと笑える呼吸の場面がてんこもり。この中ではやっぱり、表題作『おそすぎますか?』が素敵かな、と思います。忙しくきびきび働く主人公の女性編集者目線の語りですが、鷹揚で優しかっただんなさんとのやりとりに違和感が出てくるあたりはとても切ない。たいていのことには「いいえ、おそすぎませんよ!」とは言えるけれども、これはどちらの言い分もわかるだけに…くーっ、思わずラストの主人公と同じしぐさをしてしまいます!どの作品もある程度の年齢の男女の会話で成り立っているので、ナマっぽくもあるものの、下品に陥らずにクラシカルな洋画のような流れをいつも感じます。それに、白い(あるいは白の効いた)おしゃれ着を好む女性がよく出てくるような気がします。そこがアーウィン・ショーの小説のようだな、とふと思いました(大阪弁だけど:笑)。☆4つかな、5つかな…と揺れましたが、1巻よりもセレクトもうまく、中身とビジュアルが釣り合った美人本なので、やっぱりこの☆の数に。次巻からは冷静にいきます(笑)。-----[2008.11.7 未読リストアップ時のコメント]-----またまたこの巻も、鈴木成一デザイン室さんの装丁がよすぎー!時計をモチーフとしたデザインがポップで意味深で、かつ黒バックがシック。中身は読まなくても(巧みな作風は知っているので:笑)、このシリーズを揃えてしまおうか…と思ってお取り置きです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: Lovelyな本たち
感想投稿日 : 2008年11月3日
読了日 : 2009年2月20日
本棚登録日 : 2008年11月3日

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