自衛隊メンタル教官が教える 50代から心を整える技術 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2020年3月13日発売)
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定年後には、それまで当たり前に期待されていた「役割」がなくなり、組織で与えられていた「目標」もなくなり、「収入」も絶たれこころもとなくなる。新たな環境で一から人間関係を結ぶときには、これまで培ってきた価値観をゆるめないといけない。組織における生活で硬くなった心、ますます疲れやすくなる体への価値観を緩めなければいけない。このターニングポイントこそ、ゼロリセット。「目標の立て直し」と「歩み方の見直し」が必要になる。
p30.生き方は急には変えられない。定年後は何でも好きなことが出来る、と、無邪気に急ハンドルを切っても、人間にはホメオスタシス(恒常性)がある。大きく急ハンドルを切ると、必ず元に戻ろうとする力が大きく働く。
「簡単じゃない、ややこしい」でも、「トライしてデータを取る」単なる目先の目標や手段の変更の話ではなく、生き方そのものへのトライ。
p46.「自分の目標とは異なることに無駄な作業をさせられること」が、人間にとっては最も苦痛なこと。誰かの役に立ったり、社会に何らかの貢献をする、という立派な目標でなくてもいい。自らが楽しい、心地よい、要するに、あなたが生き物として充実を感じる目標も、とても大切なもの。生きていて、それをしているときに自分が「楽しい」「心地よい」と感じられるかどうかが大事。
p47 「今日、自分はこのためにここにいる」ときちんと意識をすること。
「やらされてる感」を手放していくと、「自分の価値観で選ぶ」ことがどんどん上手になっていく。
「何もしない生活」をリアルにイメージしてみる。
「地頭・地こころ、チャレンジ精神、ストレス耐性の低下」と言う3つの変化は必ずやって来て、しかも、年齢とともに加速していく。
65〜75歳 陽の時期:休日に人と交流す、自分のペースに合わせたハイキングなど、オープンな陽の楽しみが出来る。
75歳〜90歳 集中力が低下し始め、何かをやりたいと強い気持ちもさほど起こらなくなり、攻めというよりはしっかり守りを意識する時期が陰の時期、身の回りを始末し、命を終える準備をしていく「終活」の時期。
p88.価値観を緩めることができないと、嫌い合う、頼ることができない、と、どう考えても負のループのオンパレード、だからこそ「人間とはこういうものだ」と言う思い込みを緩めることが大切です。この価値観は、自分次第で「変えられるもの」です。
自分の立ち位置と他人の立ち位置はもともと比べようもないものです。
老年期に幸せシニアになるか、それとも残念シニアになるか、それは、今日「やらされてる」と思うのか「選んだ」と思うのかで決まる。
p114 人の心の12の特徴
・人は一貫しないもの 感情は時と場合によってころころ変わる。
・感情や欲求はなくせない
・人はそれぞれ、正義もそれぞれ
・人はなかなか変わらない、成長しない
・でも、人は変われる 理屈よりも体験をきっかえにして変わりやすい
・人の言動、反応にはそれなりの理由がある。
・人は物語を見つけ、安心したい。
・人はエネルギーを使いたくない(怠けたい)もの
・人間関係のトラブルは当たり前に起こる。人と人が出逢えばトラブルは発生する。全員すっと仲良くはできない
・人は他人をコントロールしたがる。人は人を恐れる、そのいっぽうで人は人がいないと生きていけない。自分の安全とエネルギーの消耗を避けるために、他者を従わせたい、他者を従わせるために、わがままになったり、人より優位な立場にたちたくなる。
・人は自分を責めやすい。
・人は過去の記憶と将来の不安にとらわれやすい。
p122 人は困ったときにしか大切な事を学べない。
50代以降は「環境変化」だけで、大きなストレスになる、これからの人生は変わることはストレスになる。
世界レベルの技術に達するにはどんな分野でも1万時間の練習が必要。
あたなと今ある価値観も、子供の頃から1万時間以上かけて培い、あなたを支えてきたもの。ほぐすには繰り返しの練習が必要となる。
仏教の読経も、修行では1日3回は読経の時間を餅、「般若心経」の色即是空:目に見えるものは変わらないようで変わり続ける。空即是色:変わり続けるものは、確かに存在しているものである 
p153 定年後2〜3年して亡くなる方は、意外と多い、だからこそ疲労への知識はしっかり理解しておいてほしい、がくんときたら、「ああ、やってきたな」と思って、しっかりと休みさえすれば良い。
感情は、放っておくと一方的に集中し、煮詰まっていく性質を持っている。自分の中でおさらいして、かき混ぜて、風通しをよくする必要がある。
書くと、「イメージを言葉にしてノートに書き出す」と言う過程で、思考スピードがゆっくりになる。ゆっくり自分の思考や気持ちに触れられるので、これまで宙ぶらりんになっていた気持ちにも、自ら気づきやすくなる。
喪は少なくとも1年は続きます。大きな悲しみの場合、傷が回復するまでは、1年から3年はかかるのだと言うことを理解しておこう。
p193 人は生きている限り「目標」を必要とする。いっぽう歳を重ねるにつれ、生きる力であるエネルギーは減っていく。何もしない、目標の存在しない無為な時間を貴重なエネルギーの無駄遣いである。」とあなたの本能は認識し、大変苦痛を感じる。
働いている時にはあんなに欲しかった「時間」なのに「まだ昼か。一日は長いな」と思い始める。
生き方の目標
・高い目標ではなく、そこそこ目標を目指す。
・与えられたものではなく、自分で選ぶ。
・行動しながら、どんどん修正していく。
oodaループ 観察→仮設構築→意思決定→実行の繰り返し。
自分は何を楽しいと感じるかということ、生産性ががない、そんな事をしても誰の役にも立たないという考えは手放し、あらためて自分に向き合い、選ぶ事が大切。
「陽の趣味」
登山・うまい物巡り・ブロク開設・温泉めぐり・神社めぐり・楽器演奏・お遍路・ボランティア・聖地巡礼
「陰の趣味」
写真撮影・歴史・美術館・将棋・読書・小説
上達することよりも、長く楽しむことを目的に変えると、挫折しにくくなる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: BOOKOFF
感想投稿日 : 2021年1月2日
読了日 : 2021年1月2日
本棚登録日 : 2021年1月2日

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