同じ著者の『飛行機技術の歴史』の流体力学に関する部分を詳しくした感じの本(発行は本書の方が先)。古代から現代までかなり詳しくて長大で,読み通すのは結構しんどい。両方を読む必要はないかもしれない。
やや飛行機とアメリカに偏っている観は否めない。飛行機以前の空気力学なら,大砲や銃弾の飛翔を扱う弾道学がかなり真剣に取り組んでいたと推測するのだが,あまりその話は出てこない。ライト兄弟の風洞実験やNACAのカウリングや翼型開発を大きく取り上げているが,ドイツでの後退翼の研究などは触れる程度で少々バランスが悪い気がした。
それにしても空気力学と航空機の関係はほんとに密接で,思いがけない動力飛行の実現をきっかけに理論も急速に発展していくのはドラマチック。それまでの遅々とした歩みがまるで嘘のよう。空力の支配方程式は随分昔に導出されていたのに,それを一般的に解くことが難しく,実用に際しては循環理論や境界層理論,そして数値計算などの工夫の余地が長らく残っていたというのも興味深い。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
技術
- 感想投稿日 : 2014年6月24日
- 読了日 : 2014年6月18日
- 本棚登録日 : 2014年5月2日
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