この人の作品は、BLという枠からいささかはみ出しているのかもしれない。主人公たちはみんなから祝福されて結ばれるわけではないし、決して幸せになるわけでもない。
そういうBLが全くないかというとそういうわけではなく、切ない話や結ばれない話というのは多く存在しているのだ(大きなパイを占めているわけではないが)
何が違うか。木原さんは、ごく当たり前の微細な感情の動き、恋愛とは違うところにある気持ち、そういった、ともすれば苦く目をそむけたくなるような感情を掬い上げて、淡々とした文章で表現する。
今作も刑務所の中という特殊な環境下におかれた男、それも冤罪事件で服役中の男と、生まれてから一度も愛情を受けたことのない男のおりなす、ラブストーリーというにはあまりにも切ない話。
再読でストーリーラインは覚えているが、詳細は忘れているという状態で読んだのでこのあとどうなるんだろうと心をぎゅうぎゅう締め付けられた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
BL小説
- 感想投稿日 : 2012年6月17日
- 読了日 : 2012年6月15日
- 本棚登録日 : 2012年6月17日
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