ツァラトゥストラはこう言った 上 (岩波文庫 青 639-2)

  • 岩波書店 (1967年4月16日発売)
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最近になって読んだ本の中に、
「若いときに読んでいたらよかった」という
ものは、いくつもありますが、
これもその一つです。

神を否定した実存主義、キルケゴールは神に向かう実存主義。
19世紀の実存主義は、20世紀のそれに比べ、
社会性がない。
などの知識はあり、書名もインパクトがあり、
若い頃から知っていましたが、
初めて読んでみると、
たいへん感銘を受けました。

まず、全体を流れる、ニヒリズム。
ニヒリズムとは、辞書によると、
「既存の価値体系や権威をすべて否定する思想や態度」
だそうですが、
19世紀にニヒリズムを全うするニーチェの強さを実感するとともに、
現代に生きる人間にとってこそ、
こういった思想を読み、
いちど、通過点にすることは、
意味あることに思えました。

本当に、自分が善と思っていることがらなど、
ツァラトゥストラにかかれば、
何の意味がありましょう?

それと、「超人」、「力への意志」が主なテーマですが、
ニヒリズムだけに終始せず、
この2つを掲げているおかげで、
僕は、生へのやる気がみなぎって来るのを感じました。

それに、訳が分かりやすい。
解説にもあるように、
注釈をつけない訳し方が、
僕は好きです。

絶対にオススメな非常に優れた著作ですが、
僕なりのニーチェへの批判を。
それは、徹底的なニヒリズムを超えて、
社会的道徳の必要性。
難しいけれど、
そういったものが表れるのではないかと。

ああ、それにしても、この本は、若い頃に読むべきでした。
今回ほど理解できたかどうかは別として。

それとも、生まれ変わっても、やっぱり、
この歳になって読む運命なんでしょうか?

僕の脳年齢は、19世紀かもしれません。(笑)

(下)が楽しみです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年2月2日
読了日 : 2010年4月26日
本棚登録日 : 2013年2月2日

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