松本清張の短編が原作。近所に住む男が殺人の容疑をかけられる。事件当日、愛人宅からの帰り道で彼と出くわし、アリバイを証明できる立場にいた主人公は、不倫の発覚を恐れ証言しないことに決めるのだが…。追う者、追われる者でなく、目撃者の立場から描くサスペンスは新鮮だった。
60年代の映画のためモノクロだったが、上映時期に関わらずカラーにすべきではない作品がある。その要素として、時代性、暗鬱なテーマ、人間の二面性、があると考えるが、本作含め多くの清張作品は、これらを満たしている。2000年以降も「ゼロの焦点」などが映画化されているし、ドラマでもお目にかかることは多くそれなりに楽しめるが、どこか物足りないと感じるのは、モノクロでないのが理由の一つだと思う。
80年以降モノクロで撮られている作品は、その意図を考えながら鑑賞すると、より楽しめると思う。時代に逆行することが良いときもある。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
サスペンス
- 感想投稿日 : 2016年8月27日
- 読了日 : 2016年8月26日
- 本棚登録日 : 2016年8月26日
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