無実で服役となった男の脱獄ストーリー。完全にネタバレだが、脱獄にいたる過程は描かれているものの、一つひとつの行動が脱獄目的に行われていたことがラストで明かされるという筋の意外性にあふれた作品。
登場する刑務所は会社と同じ、もっと言うと、一握りのハイパフォーマーとその他大勢が対比された作品だという感想を持った。主人公は、無実で服役という境遇(配置)であれ、利他の精神で仲間に貢献し、難題にも果敢に挑む。こういうタイプが受けがちな周囲の攻撃や軋轢も、キーマン(作品だと刑務官)をグリップして乗り越える。そして、脱獄により身体・精神の自由を勝ち取り、新しい人生を切り拓いていく。一方、長年服役している図書室勤務の名物爺さんは、仮出所となるもソトに出ることを恐れ、結局、仮出所後に自殺をしてしまう。長年、貢献してきたと思ってきた会社から肩たたきにあったサラリーマンさながらだ。
「ハイパフォーマーとその他大勢を分けるものは何か」「ハイパフォーマーを定着させるために必要なことは何か」「その他大勢をハイパフォーマーにするためには」といった問いが想起され、最も重要だと思われる一つ目の問いに対して、自分のテーマがあるかどうか、と本作は答えているように思える。ラストにあった服役時代の親友レッドとの再会シーンを観ると、彼とこれから何か事業を作り出していくように思えてならないのだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ヒューマン
- 感想投稿日 : 2017年1月7日
- 読了日 : 2017年1月7日
- 本棚登録日 : 2017年1月7日
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