私説 対象関係論的心理療法入門―精神分析的アプローチのすすめ

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  • 金剛出版 (2005年6月30日発売)
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第1章 分析空間の創り方

I 心理治療のための部屋を確保する
II 分析空間の構成要素としての治療者
III 面接室を取り巻く環境

第2章 治療対象の「見立て」とその進め方

I 見立てという「一期一会」
II 見立てる力のつけ方
III 見立ての目標
IV 見立てのためのセッション数
V パーソナリティを見よう
VI 精神分析的心理療法の利用可能性を知ろう
VII 見立てにおける介入のポイント

第3章 治療契約と治療者の身の置き方

I 見立ての伝え方と治療を始めるための説明
II 治療の頻度を決めます
III 治療を契約します
IV 治療者の身の置き方
V その他の治療者が注意すべきこと
VI 途中で起こる治療契約の変更の取り扱い

第4章 耳の傾け方

I 耳を傾けることは,ひとを読むことです
II あらゆる感覚を使う

第5章 口のはさみ方

I なぜ治療者は口をはさむのか
II 沈黙を学ぶ
III 口のはさみ方の種類
IV 口をはさむときの配慮

第6章 分析空間でのできごと

I 分析空間に何が起こるのか
II 私たちは前概念を持っていること
III 転移と呼ばれるもの
IV 逆転移と呼ばれるもの
V 転移と逆転移の交わり
VI この時期に治療者がなすこと

第7章 解釈というかかわり

I 「解釈」とは
II 解釈の種類
III 望ましい解釈
IV 解釈の組み立て方

第8章 解釈の伝え方

I 解釈の伝えかたの実際
II 解釈を伝えた後

第9章 精神分析的心理療法のプロセス

I 治療のプロセスを知ることの無意味さ
II 精神分析的心理療法の全体プロセス
III 開始期
IV 展開期初期
V 展開期中盤
VI 展開期後期
VII 終結期
VIII おわりに

第10章 精神分析的心理療法プロセスで起こること

I はじめに
II 退 行
III 行動化
アクティング・アウト
IV 面接中のクライエントに重篤な危機が認められるとき
V 中断,あるいは早すぎる終結
VI 行き詰まりと陰性治療反応
VII その他のささやかなこと
VIII おわりに

第11章 治療の終結と終結後

I はじめに
II なぜ終結が問題とされるのか
III どのようにして終結が予定されるのか
IV 誰が終結を提案するのか
V 終結の実際のあり方
VI 終結における諸問題
VII 最終回のセッション
VIII 治療終結後の関係と再開の可能性
IX おわりに


 精神分析的治療の方法論がとてもわかりやすく述べられている。転移-逆転移を治療に活かしていくというのはどういうことなのかがよく分かるが、これを読めば読むほど実践の難しさが実感される。転移-逆転移や解釈について知りたい方は6章~9章にかけてが役に立つ。
また「躁的防衛」や「自己愛性」「強迫」などの心性など、見立てに役立つ情報もちりばめられている。今、面接室の中で何が起こっているのか?自分とクライエントの間で何が交流しているのか?そのヒントを知りたい方にはお勧めの本だと思います

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 臨床心理学
感想投稿日 : 2011年7月11日
読了日 : 2010年6月8日
本棚登録日 : 2010年6月8日

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