4巻になってもテンション衰えず。当初漫画の手法としてはバクマン、まんが道系の作者を投影した漫画家志望の漫画界内幕もの、ということでずるいな、という意識はあったが面白いので認めざるを得ない。
一般的に人は2種類に分かれる。それは、ものを具体的につくり表現する側と、人が作った表現物を消費するもの。僕自身とは違う側の、圧倒的に少ない前者サイドの人間が、金も名声もない学生時代にどういう思考で考え、どういう活動をしていたのか、というところがのぞけるのがこの漫画の面白さ。バクマンみたいな少年誌的に「無限の気力と才能を持つ」キャラでもなく、まんが道ほど古い話題でもない、今の日本と連続性のある80年代初期文化圏でのこういった創作系学生の描写が面白い。
学生としてのメンタリティ、つまりまわりの女性が気になったり、精神的に動揺しがちだったり、貧乏だったり、仲間と騒いだりという要素は一般の消費する側と同じでありつつ、表現する側としての独特のプライド(”城”と表現していた)や人前に表現物を出して批評にさらされる、というつらいところ、その辛さを乗り切るためにどうモチベーションを保つのか、などの一般の学生にはない独特の苦悩が興味深い。
トンコさんは相変わらず魅惑的。というか近眼でやたら話しかけてくる距離が近くて、勘違いしちゃう女性っているよね。
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買ったし読んだ(超おすすめ)
- 感想投稿日 : 2010年6月29日
- 本棚登録日 : 2010年6月29日
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