すごく、すごく良かった。
今まで読んだ辻村深月さんの作品の中で、一番好きです。
こころ、アキ、フウカ、リオン、ウレシノ、マサムネ、スバル、
そしてオオカミさま…
みんな、みんな愛おしくてたまらない。
この物語の主人公たちは中学生。
教室という小さな箱の中…
ひとりひとりはそうでもない。
ところが、グループになると言葉が通じない。
でも、たとえ大人になっても、いつの時代に生きていたとしてもそれは同じ。
どこに行っても、いいことばかりが待っているわけではない。
だけど今、自分が置かれているその場所だけが居場所ではなく、
それも長い人生の中の、たった一年なんだということ…
過ぎてしまえばわかることも、この時にはまだわからない。
闘わなくてもいいんだよ。それは逃げではないんだから。
そしてそれが容易くないことも、彼らはすでにわかっている。
”たかが学校”
そう思うことで、それを心のよりどころにして頑張っていけるのかもしれない。
もう十分頑張っている人に、軽々しく頑張ってと言ってはいけないらしい。
でもね、やっぱり言いたい。
自分をわかってくれるひとは、必ずどこかにいる。
言葉の通じるひとはいる。
だから頑張れ!
記憶は消えても、それぞれの場所で、みんな頑張っているよ。
きっとまた会えるよ!
最後に明らかになる、かがみの部屋の謎…
エラそうなオオカミさまが、どこかさみしそうで、ずっと気になっていた。
ひとりぼっちになってしまうのかな?
オオカミさまの正体が、そうだったらいいなと思っていた。
願い、かなったね…良かった。本当に。
読み終えた今、
鏡の向こうから、ひょっこり顔を出している表紙のオオカミさまが、
私にはにっこり笑っているように見える。
- 感想投稿日 : 2018年3月19日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2018年3月19日
みんなの感想をみる