龍樹 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (2002年6月10日発売)
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本棚登録 : 623
感想 : 30
5

 一念発起して三連休に読み切った積本。1年ほど寝かせてた。
 『中論』分からないといろいろこれから不便かもしれないと感じて読んだ。
 第一部で龍樹(ナーガールジュナ)の生涯の解説。諸説をしっかり取り上げてある。
 第二部で『中論』の解説。何が説一切有部と対立していたのか、経部との関係など、にも触れ、空、縁起、不生、無我、中道など必要な概念を遺漏なく解説してくれている。
 そして第三部で原典に当たる。第二部で読んだことがあって初めて頭に入ってくるのだ。『中論』、『大智度論』(これよかった)、『十住毘婆沙論』の易行品が読める。素晴らしい構成だ。
 「あるんでもなくてないんでもない」これを法話で聞いたらわかったようなわからないようなところに陥りがちなんだが、じっくり読んだらわかってくる。文章も簡潔でいて、のちの人々が龍樹の思想をどうとらえたか、チャンドラキールティーの解釈の「書き方」に関する考察も、思惟する人への敬意に満ちていて共に考える人が書いたものだなあと言うところにもすごく心が揺さぶられた。
 すごくいい本。自分は瓜生師の法話で聞いていたから読めたのかもしれない。これ何回も何回も聞く話なんだなあと思った。世親や曇鸞のことを聞くにしても、空と中道のことを聞いているかどうかで全然違うなと感じた次第。思い切って一気読みしてよかった。

『中論』 帰敬序 (八不について書いてある)

[宇宙においては]何ものも消滅することなく(不滅)、何ものもあらたに生ずることなく(不生)、何ものも終末あることなく(不断)、何ものも常恒であることなく(不常)、何ものもそれ自身と同一であることなく(不一義)、何ものもそれ自身において分かたれた別のものであることはなく(不異義)、何ものも[われらに向かって]くることもなく(不来)、[われらから]去ることもない(不出)、戯論(形而上学的論議)の消滅というめでたい縁起のことわりを説きたもうた仏を、もろもろの説法者のうちでの最も勝れた人として敬礼する。

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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 仏教
感想投稿日 : 2022年2月13日
読了日 : 2022年2月13日
本棚登録日 : 2022年2月13日

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