2、3年ぶりくらいにページを開いた。
これが本名なのかどうかわからないけれど「未来ちゃん」。このひとりの女の子だけを被写体にしたスナップショット的写真集。ひょっとして、この子を見ていたら未来しかない、ということで未来ちゃんなのかもしれない。
ともかく、見るたびに、よくもこんなキャラの立った子を見つけてきたな、という感想を抱く。おかっぱの、黒くて丸々した目の女の子。まわりに写っているものからして都会育ちではない。海辺で寒い地域なのかな。フィクションの中にしかいなさそうな、"ザ・田舎の子"。
ともかく表情が良い。そして強い。ちょっとのことでは動じなさそう。どっしりと、足から根が生えて地中から養分をもらってる感じ。
奈良美智が描く女の子のようでもあり、あるいは"こけし"が動き出したようでもあり、座敷わらしのようでもあり、あるいはアニメのキャラクターが実写化されたみたいだとも思った。
たまにこちら(カメラ)に向かってサービスして変顔をしたりしているのだけど、基本、まるでカメラがそこにいないかのように素の顔をしている。きっとここがカメラマンの力量なのだろう。
「未来ちゃん」はいっこうに照れる様子もなく、むすっとしていたり、鼻水垂らして泣いていたり、木に登ったり、降る雪に積もられたり、おじいちゃんやお坊さんの肩に立っていたり、無心に何かを食べていたりする。
カメラ目線のときの眼力が何よりすごい。視線の圧でレンズをパリンと割ってしまいそう。
好きな写真はたくさんあるけど、中でもお気に入りは、アイスクリームを口のまわりにいっぱいつけたまま、むすっと何かを見つめているショット。
それから、狭い側溝の中に仰向けに寝そべったまま出られず、ちょっと不安げにしている未来ちゃん。
鎌をもってススキのなかに立ち、何かたくらんでいそうな表情の未来ちゃんも微笑ましい。
なんだか本書は定期的に見たくなる。また会おう未来ちゃん!
- 感想投稿日 : 2022年9月26日
- 読了日 : 2022年9月26日
- 本棚登録日 : 2022年9月26日
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