普通に読めば、「グループづきあいに嫌気がさした女の子が、外れ者としてやってくけど、毎日周囲をバカにする一方劣等感も抱えている日々。ところが自分よりもっと外れたアイドルおたくのクラスメートとの交流のなかで、憎らしさとほのかないとおしさ?も交えた感情を抱き始め……」
って話に読めますし、この本が刊行されたときの、中学生の私はそのとおり読んで「くだんない!これが芥川賞かよ」と思った。
けど、今読み返してみると、この本。
主人公に「蹴りたい」と思われ続けるアイドルおたくの男は主人公の自己愛と自己嫌悪の投影対象としての役割を担ってるんですね。それを書きすぎずに、主人公へ自分自身のゆがんだ思いの自覚も促さず、書かないことでこの作品を「文学」たらしめてい力量はさすが。やっぱりあの若さでそんな巧みな小説の構造をする綿谷りささんは、十分に芥川賞に値する
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
現代日本文学
- 感想投稿日 : 2011年2月13日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年2月11日
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