ポアロ登場 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房 (2004年7月15日発売)
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ポアロ&ヘイスティングズの活躍がたっぷり!

短編集なので、謎があっけないというか、それで解決しているのか、やや唐突に感じるものもある。しかし、ポアロとヘイスティングズのコンビの会話が楽しい。かなりの割合で美人の依頼人が来るのもお約束。国家に関わる重要な話もあり、バラエティパックのように楽しめる。

「〈西洋の星〉盗難事件」ダイヤモンドが予告上通りに盗まれた。言われてみれば納得の事件。美しい女性に優しく、ややミーハーなヘイスティングズというキャラクターがよく出ている。14編の中でも印象に残ったのをいくつか。

「百万ドル債券盗難事件」債券が船で運ばれる間に盗まれ売りさばかれた。ポアロの推理に、そんな情報出てなかった、と思うけど、発表当時は常識だったのかもしれない。

「エジプト墳墓の謎」クリスティー大好きエジプトの話。呪いのようなオカルトをポアロが信じるのかと思いきや。犯人はなんとなくわかる、たぶんポアロがいつもと違う場所で活躍するのを楽しむ旅ミステリ。

「首相誘拐事件」イギリス首相が行方不明、このままではヨーロッパの危機。こういう設定がイギリスっぽい。それはともかく、ポアロの灰色の脳細胞は、現場に行かなくてもちゃんと事件を解決するという話。行ってしまったけど。

「ミスタ・ダヴンハイムの失踪」ジャップ警部から聞いた事件を推理するポアロ。このジャップ警部も、ホームズものに出てくるレストレード警部のポジションで、ホームズが好きだというクリスティーを感じる。3人の仲良しな感じがいい。

「チョコレートの箱」ポアロが過去の失敗を語る。この終わりの、調子に乗ったら「○○」と言ってくれ、というパターン、ホームズにもなかったかな。バークリーの「毒入りチョコレート事件」をも彷彿とさせる。結局、推理というのは、一番もっともらしい推測だということ。この話が一番好き。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 933: 小説. 物語
感想投稿日 : 2019年4月15日
読了日 : 2019年4月14日
本棚登録日 : 2019年4月14日

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