観察力を磨く 名画読解

  • 早川書房 (2016年10月6日発売)
3.99
  • (54)
  • (66)
  • (27)
  • (10)
  • (3)
本棚登録 : 984
感想 : 67
5

社会で活躍していくためには違いを見つけることが大切で、それを磨く方法の一つが"客観的な観察力"である。

観察力は、すでに答えが分かっている、美術作品を観察することで鍛えることができる。と冒頭で述べ、様々な分野の芸術作品から、適切に観察する方法を伝えていく。

観察、分析、伝達、応用の4ステップで展開することで、ただ見るだけでなく、伝えるところまで書かれているところがこの本の特筆すべき点だ。

また、途中に、実践編として、作品から読み取る課題がいくつもある。大切なことを噛み砕いて伝えながらも、頭でっかちにならないように、使える知識になるように工夫が施されている。

観察力を鍛える上では、理論だけでなく、実践を伴って、少しずつ鍛錬していかなければならないことが、身に染みて分かる。そして、いかに自分は見ただけで、観察をしていないのかも…。

特に揺さぶられた箇所は、絵に何が足りないかを考えるところ。観察と言われれば、描かれているところばかりを見てしまうので、この視点を知ったときは、思わず目を見開いた。

観察力を磨きたい人にはもちろん、感性で絵を見るのもよいことだが、もう少し別の視点で捉えてみたい、と考えている人にも是非勧めたい。読み終えたあと、美術館で過ごす時間は倍以上になること間違いなし。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年10月17日
読了日 : 2022年2月18日
本棚登録日 : 2019年9月5日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする