桐野夏生にはまったので、比較的旧作にも手をつけてみたが、ストーリー展開の緻密さと登場人物のリアリティは昔からの筆力か、更にはテーマがトップ屋たちライターの世界。作家には得意のジャンルでもあったのだろう。一つの事件を追いながら、自らの身の回りに起こる事件と少しずつ重なり、戦後初期を舞台に、物語りはハードボイルドミステリー仕立てに展開。面白くないわけがない。
桐野夏生はグロテスクとか残虐記でも、ノンフィクションをなぞった小説を書いているが、そういった著作では、犯人の人間性を多面的に分析して描く必要があるため、特に著者の良さが出るのだろう。これが出来ない作家は、登場人物の年齢やIQの違いをキャラ設定を露骨に表すことで表面的にしか描けず、深みがない。まさに才能だ。
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- 感想投稿日 : 2017年12月2日
- 読了日 : 2017年12月2日
- 本棚登録日 : 2017年12月2日
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