秋色 (ダリア文庫)

著者 :
  • フロンティアワークス (2013年11月13日発売)
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感想 : 11
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子供で無謀で無力で身勝手だった二人がもう一度結ばれるまでには五年の歳月が必要だったんだろうなと…しかし、好きで大切だからこそ二度と会わない、と決めたわけではなく、「人生の指針で一生涯の宝物」と誓いながら忘れずに思い続けていたのなら、そりゃあもう離さないと誓い合うしかないよね。
(ふったらどしゃぶりの和章と整を思い出しましたが彼らはもう行き止まりだったからね)
美里を傷つけて、思いに報いることが出来なかったのだから…と身を引こうとするアキと、それでもアキが好きで好きで堪らない美里の純粋さが胸打たれるよう。

シーナの子供っぽさと横暴さ、狭量さにはイライラしましたが「二番手でいい」と甘んじたのはシーナ自身、それを飼い殺していたのは美里。
美里のやろう、とも思うし、社会から外れて芸術家として生きる美里、芸術家であり一経営者として若くして身を立てるアキに反して、未熟な社会人一年生として重要な立場なのでしょうが、完全に「アキならわかってくれたのに」と引き立て役にされて不憫やで。
正直シーナがキレて癇癪起こすのはよくぞ言った!!! としか。
かわいそうな当て馬人事の役割後、あの子は未熟なところもあるけれど成長できる子で、抜け殻になった美里を大事に守ってくれた、と見守るアキにほろりときました。
なんだよハンサムスーツめ。
言葉足らずのせいで美里を傷つけて癒えない傷を負わせたけれど、それを償えるように生きていく、と誓うアキにジーン。なんだよあのハンサムスーツ。

同性愛はなだらかな自殺、のくだりは「苦悩」という幻想を押し付けて消費していやしないかい? とも正直なところ思っちゃうのですが、世間体や社会からの様々な保障を受けられず、マイノリティの肩書きを背負って生きていくことになるのは確かで…。
困難な道であることを覚悟してそれでも選ぼう、そのためには反対された両親にもきちんと話をして理解してもらおうと改めて美里の親御さんに挨拶するアキはカッコいいし立派ですね。
理解や同意を求めて家族との対話を図るのが朝丘さんなんだな、と。

いつまでもお幸せに、とは思いつつも、いつまでもべったりいちゃいちゃ恋人気分はちょっとしんどいかなと思わなくもない。笑
これからコンプリートブック2を再読しようかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: BL
感想投稿日 : 2017年6月18日
読了日 : 2016年3月13日
本棚登録日 : 2016年3月13日

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