四つ折りにした薄手のハンカチーフのような薄さに惹かれて本棚から取り出した本。移動中に読むのにぴったり。
名古屋からの帰り、疲れているにもかかわらず、立ったまま夢中で読み通した。魅力の半分は朝吹先生の翻訳かもしれない。昭和40年代にこのセンスの良い、色あせない翻訳ってどういうことだろう。
直訳とは違う、『優しい関係』という感じの良いタイトル、快い、誘い出すような冒頭文に、広辞苑にも載っていない珍しい熟語の数々、読んでる間じゅうずっと気持ちのよい刺激と静けさに浸ることができる(個人的にちょっとリンドバーク婦人を思わせる)。
愛すべきルイスと、共感を誘う女性主人公、そしてポールの寛容さもまたいい。ルイスの受け答えが好きだ。受け答えしている情景もすっと思い浮かぶ。
ところでルイスの秘密が無償の愛につながるのはわかるけれど殺人につながる意味はよくわからない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説など
- 感想投稿日 : 2019年11月11日
- 読了日 : 2012年11月30日
- 本棚登録日 : 2012年11月30日
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