英語がネイティブの人にとって学ぶのが難しい言語をグーグルすると、大抵のサイトで日本語がトップのカテゴリーに入っています。他には韓国語、中国語(マンダリン、広東語共)、アラビア語など。日本人の私から見ても、欧米人にとって日本語は難しいだろうと思う。アジア圏内の人にとっては日本語はそれほど難しくないという意見も聞いたことがありますが。
この本の中で日本に長く暮らすアメリカ人のデイビッドさんが、日本語教師の長尾先生と会話しながら日本語の謎について楽しく学んでいきます。
同じ発音でも全く違う意味の言葉も多々ありますよね。「汚職事件」と「お食事券」はよく耳にしますが、デイビッドさんが勘違いしてしまった他の言葉も面白い。
まずは「扶養家族」と「不要家族」。奥さんのことを「不要(扶養)家族」と言っている人を見てびっくりしてしまったそうです。そして「加齢臭」を「カレー臭」と勘違いして「日本人はなぜカレーの臭いに神経質になるんだろう」と思ったり、「波浪注意報」を「ハロー注意報」と思って「嵐が来るからハローなんて挨拶していないでさっさと帰ろうという意味」と取っていたことには笑ってしまいました。
中には日本語ネイティブの私にとってもなるほどそうだったのかと思う箇所も。例えば、おばあさんがおじいさんに向かって「おじいさん」と呼びかけたり、自分の配偶者を「お母さん」「お父さん」と呼んだり。日本の家庭の中ではよくある光景で、私はこの理由まで考えた事は今までありませんでしたがこの本に「日本語の家族表現では、その家族の中で一番幼い人の視点による呼称が優先するという特徴がある」と書いてあり、なるほどと思いました。
読み終えて2つの事を思いました。1つは自分も間違った日本語を頻繁に使っているということ。いわゆる若者言葉、コンビニ言葉を使ってしまう時が多々あります。2つ目は自分は日本語教師になれないなという確信。深く考えずに使っている言語を、細かく分解して「これはこういう理由でこう」と外国人たちに説明するというのは簡単では無い。言語って奥が深いですね。
- 感想投稿日 : 2020年11月8日
- 読了日 : 2020年11月8日
- 本棚登録日 : 2020年11月8日
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