恋愛ベースの番外編。事件も公安的なものから外れ、刑事警察、さらには軽犯罪レベルに。
本巻とは離れるが、銃撃戦(仮に麻酔弾としても)は生命身体に害をなし、明示的・直接的な被害の予見可能性が高い。眼に当たったらどうするのか。背骨や中枢神経系を貫通したらどうするのか。ペイント弾ではないのですよ。
この結果、招来することが予想される被害のレベルは、表現の自由を規制することの比ではない。
この銃撃戦が存在するという状況を設定した場合、その状況を改善しようとする社会の圧力は、表現の自由という間接的・目に見えないものに対する規制・侵害よりも、より早く、より真摯なレベルでなされることが予想されるが、本作は真逆なのだ。
このリアリズムの欠如の原因は、軍服を見たい、描きたいという著者のエゴイスティックな願望によるものであり、本作への拭い去れぬ違和感は、この実に座りの悪い点に依拠するかも。
身体の自由の確保が表現の自由の実現よりも先んじている。その歴史的経過とも本作の在り方は齟齬を感じるし…。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2016年12月30日
- 読了日 : 2016年12月30日
- 本棚登録日 : 2016年12月30日
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