言わずと知れた仏革命を題材にした宮廷絵巻少女漫画。
のっけから王太子妃たる少女アントワネットと現国王の愛人デュ・バリー夫人との苛めに擬せられような確執を描き、少女マンガらしいスタートである。
ところが、ベルサイユでの孤独に苛まれるアントワネットの心の隙間に、同年の貴公子フェルゼン伯、狡猾なポリニャック伯夫人が入り込んでいく。それが無知無垢な少女を、悪政敷く女王に変貌させていく展開は実に心憎い。
かつ、貴族の庶民への重圧の挿話を其処彼処で挟みつつ、斬首への道程をそれと知らず歩むアントワネットの姿が哀れにも滑稽にも見える。
そう、本作は実はアントワネットの物語なのだろうと感じさせる序盤だ。オスカルを軸に展開させようとするアニメーション版とは一味違う物語を楽しめそうである。
なお、庶民に身をやつしている貴族の子弟ジャンヌとロザリーの姉妹の造形が秀逸だ。
1994年(底本1976年)刊行。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
マンガ
- 感想投稿日 : 2017年1月24日
- 読了日 : 2015年5月28日
- 本棚登録日 : 2017年1月1日
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