1992年刊行。著者は東京大学教養学部教授。◆コーヒー。イスラム・アラブ原産のそれは、西欧に渡り、カフェの形成に寄与し、ひいては、各種革命の原動力たる「世論」形成に寄与した。この実相を英仏独三様の異同を踏まえつつ解説する。また、その商品・経済産品としての意義、プランテーション形成に伴う南米・アフリカにおける西洋文明の浸透とその不都合性をも。コーヒーは紅茶ほどアジアとの関連性は大きくないので、アジアの状況はほぼ触れられない。英仏独による商品作物栽培あるいはその販売、植民地経営の意味合いを知るには好適の書か。
アジアを除く各地(中心は英仏独だが)のコーヒー関連史を、新書サイズで、広く、縦横無尽に叙述するのには感嘆。なお、アルコールならまだしも、この黒い液体が、多くの時代において、時に革命に寄与する価値を持っていたのは意外の感もあるが…。
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ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2017年1月22日
- 読了日 : 2017年1月22日
- 本棚登録日 : 2017年1月22日
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