1980年刊行。全3巻中の2巻。
「なんて情けない子だろう!あたしは、あんたを、そんなふうに育てた憶えはないよ」
「何を言うんだ!あなたは僕を育てはしなかったよ!僕は一人で大きくなった。父さんだって仕事一辺倒で僕の面倒をみてくれなかった。僕は一人で大きくなったんだよ!」/
「夢だったのです。怖い、不潔な…」アムロはどもってみせた。
「不潔?」クスコ・アルの…瞳がアムロをのぞきこんだ。”成功だ!”不潔という生理的な言葉が、クスコ・アルの感性の足元をすくったのだ。
「母が男と寝ていたんです」アムロは言った。/
”この女の肌が、男に間違いをさせる!”アムロはそう思いつつ言った。
「降りて下さい」「少尉…」クスコ・アルは言葉をのんだ。「どうせ僕は青二才です。あなたのお相手はつとまりませんから…降りて下さい」
アムロは逆流する光の流れをみたのだった。
”やめて下さい!や、め、て!”クスコ・アルが見たものがアムロに見える。
クスコ・アルの美しい母の腹部に銃剣がつきたてられた。連邦軍の兵士のようだった。…”豚ァッ!!”最後にアムロが見たものは兵士の…だった。
これはもはや少年の物語ではない。アムロ、大人である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2016年12月7日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2016年7月8日
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