誰もが、つまり、性別や年齢を問わず、生きていく上で仮面をかぶり、「道化」を演じている。ただ各々の違いは、「道化」の度合い、程度の差があるだけにすぎない。
本書の主人公や彼を取り巻く人々がかなり厚い仮面をかぶっている点は小説的ギミックではあろうが、本書は、誰もが抱えている人の病理を、太宰治作品に仮託しつつ抉っていく。
文体は軽いが、かなり重い作品である。もっとも、謎解きとしては伏線の張り方に難があるので、本書をミステリー的な作品とみるのは、少ししんどいかも。
むしろ、「道化」を演じる心層を味読したい作品。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2017年1月20日
- 読了日 : 2017年1月20日
- 本棚登録日 : 2017年1月20日
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