風に吹かれて (扶桑社ミステリー ハ 8-4)

  • 扶桑社 (1992年12月1日発売)
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感想 : 6
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ひねくれ者の隣人に殺意を抱いた男の犯罪と皮肉な結末を描いた表題作他、一度も活字になったことのない本を14冊書いた男の生涯を描いた「頭の中で小説を書いた男」、新居の裏にある池にはびこる異常な蔓草の恐怖「池」、蝋人形館の怪しい魅力に取り憑かれ、自ら血まみれの惨劇を引き起こした青年の話「ウッドロウ・ウィルソンのネクタイ」など、著者の様々な面を垣間見ることのできる短編12編を収録。

P・ハイスミスと言えば、映画にもなった「太陽がいっぱい」やヒッチコックの「見知らぬ乗客」が有名かもしれない(自分は知らなかった……)。上記のような内容だとさぞかし陰惨な作品が並ぶかのようにも思えるが、決してそういうわけではない。むしろ取りたてて大きな事件が起らず、さしたるクライマックスや(読者が期待する)カタルシスがないままに終わる方が多いかもしれない。
ただし、じっくり読んでいくと何とも苦味のある読後感が残る。それこそがハイスミスの作風なのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ホラー/怪奇幻想
感想投稿日 : 2010年4月17日
読了日 : 2010年4月17日
本棚登録日 : 2010年4月17日

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