蒼穹の昴 全4冊合本版 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2015年1月9日発売)
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本棚登録 : 203
感想 : 21
3

著者の代表作のひとつ、らしい。
なるほど、読み始めたら止まらない。
坂本龍一を悼んで久しぶりに再見した映画「ラスト・エンペラー」の余韻もあったせいか、清朝末期を舞台にした壮大な大河ドラマは実に面白く読み応えもあり、著者の巧みなストーリーテリングの冴えもあり、全4巻を一気に読み終えてしまった。
難を云うなら、ひとつは中国語表記の固有名詞(人名、地名など)の読みにくさ。丁寧にルビの表記もあるのだが、最初から最後まで難儀した。
もう一つは、主たる主人公、梁文秀と李春児の二人を軸に物語が展開する基本骨格は良いのだが、それ以外の登場人物や彼らに纏わるエピソードをやや拡げ過ぎていないか。100年超の時間と広汎な国土・世界に跨る壮大なスケールを描くのに、大勢の登場人物が関わるのは必定だが、主人公二人へのフォーカスを疎かにせず、しかも同時に、その二人と多数の登場人物らとの関わりを破綻なくバランス良く描いて見せる、という点では、残念ながら今ひとつ物足りなさを感じたのも事実。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2024年4月9日
読了日 : 2024年4月9日
本棚登録日 : 2023年5月3日

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