R.S.ヴィラセニョール

著者 :
  • 新潮社 (2017年3月30日発売)
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本棚登録 : 35
感想 : 13
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フィリピン系のメソティソ(混血)のレイ・市原・ヴェラセニョールは染色家として様々な取り組みをしており千葉の田舎で生活している.近くにはメキシコ系のメソティソのロベルトも住んでおり芸術家としてのやり取りがある.レイの父のリオは若くして日本に来て働き,フィリピンに残した親戚たちを援助してきた.弟のフェルは弁護士として活躍している.芸術大学の仲間の根須広夢とも僅かだが交流がある.リオに癌が見つかり,フィリピンの親戚と交流が始まる.突然来日したフェルの語るフィリピン現代史は155頁から35頁も続くが,これだけでもすごい物語だ.マルコスに対する怨念を感じる.病弱になったリオを囲む家族の食事場面が素晴らしい.著者の時代小説は読んだことがあるが,同じ作家の作品とは思えないほど,意外性を感じ,さらに楽しめた.

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2017読破
感想投稿日 : 2017年9月15日
読了日 : 2017年9月15日
本棚登録日 : 2017年9月8日

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