天才「橋場君」が(本作は橋場君の一人称で語られた物語なので、橋場君が天才と表記される事はないのだが…)大学で喜嶋先生と出会い研究者として一人前になっていく物語。
題名の"静かな世界"とは研究者の生活の、テレビやニュースも見ない、俗世間とは隔たった、ただひたすら研究(喜嶋先生の場合は数式や数値計算等々)の中に没頭する様子の事だ。"僕の"ではなく"喜嶋先生の"としているのは、橋場君の喜嶋先生に対するリスペクトの大きさからか…。
物語の二本柱は、その研究と大学という教育機関がどういう物がという説明と、橋場君を取り巻く個性的な人達との関わり合いになると思う。
私は理系の人の頭の中も大学の内側も分からなかったからその部分もとても興味深かったが、登場人物の関わり合いも橋場君の人に対するスッキリした淡白さが好感がもてた。
研究者にとってのメンターの重要性が、フィクションながら良く表されていると感じた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2022年2月6日
- 読了日 : 2022年2月6日
- 本棚登録日 : 2021年5月29日
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