ジャンヌ・ダルク暗殺

著者 :
  • 講談社 (2001年11月20日発売)
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本棚登録 : 62
感想 : 9
5

15世紀フランスの神の使いを名乗って散っていった有名なジャンヌ・ダルクのお話。
ジャンヌ・ダルクの一生や足跡を追うと言う形ではなく、彼女と同じ名前の娼婦ジャンヌを主人公にして、権謀術数が渦巻く宮廷や、信仰心の厚いジャンヌ・ダルクや、フランス王太子・シャルルの即位に関わる人々の活躍などが描かれている。
まず、主人公がずばりジャンヌ・ダルク、じゃないところが良かった。しかも、神の世界からは汚れた罪人として扱われている娼婦っていう設定が、物語をただの正義の為の戦いの聖戦的な色あいから遠ざけ、物語に幅と深みが加わって読み応えのある作品に仕上がっていると感じた。
彼女の作品を読むたびに、細かい部分までしっかりと緻密に組み立てられたストーリー運びの巧さに感心してしまう事、しばしばなのだけれど、そんな彼女の数ある作品の中でも、これは久々の大作だと思った。
ジャンヌ・ダルクそのものを追いかけるような話しではなく、あくまで娼婦・ジャンヌの生きざまを描いており、「娼婦だって人間なんだ」って何度も言っている彼女の何にも負けまいと強く生きていく姿には、胸がジーンとして、最後には感動しました。
泣けてきちゃいました。。。。
私はアンチクリスチャンなんで、ここで描かれているジャンヌ・ダルクにはイライラし、中世のキリスト教がもたらした様々な罪深き事柄は、益々批判的な気持ちを強くしたかな・・・。
敬虔なクリスチャンの方は読まない方がいいかもね。
頭くること、間違い無しでしょう(笑)

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 世界史・小説
感想投稿日 : 2006年6月3日
本棚登録日 : 2006年6月3日

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