獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2012年8月10日発売)
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シリーズ4作目で完結編(外伝を除く)。
本当に素晴らしすぎる物語だった。今まで何で出会っていなかったんだろうと思うほど素敵で、たくさんの方におすすめしたい。

でも、このタイミングで出会ったことにも何か意味があるように感じてならない。それは「戦」と人々の在り方、というこの本全体で投げかけられている視点。ハッとするような文章が沢山あった。エリンに「戦は無くならない」と言わせた上で、

・顔も知らない多くの人たちが生きた果てにわたしたちがいて、わたしたちが生きた果てに、また多くの人が生きていく
・人は、知れば、考える。(中略)知らねば、道は探せない。自分たちが、なぜこんな災いを引き起こしたのか、人という生き物は、どういうふうに愚かなのか、どんなことを考え、どうしてこう動いてしまうのか、そういうことを考えて、考えて、考え抜いた果てにしか、ほんとうに意味のある道は、見えてこない…
・人は群れで生きる獣だ。群れを作っている一人ひとりが、自分が何をしているのかを知り、考えない限り、大きな変化は生まれない。(中略)多くの人の手に松明を手渡し、ひろげていくことでしか、変えられないことがあるのだ

といった文章の数々。自分には、知ることも、考えることも、足りていなかったなと反省させられるし、全世界の人々にこの物語を読んで考えてみて欲しいと思った。

ジェシやエリンやイアルに感情移入してしまって、かなり切ない終わり方だけど、身を挺して全てを明らかにし人々に考えるきっかけを与えたエリンに感謝したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年2月7日
読了日 : 2023年2月7日
本棚登録日 : 2023年2月5日

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