鼻/外套/査察官 (光文社古典新訳文庫)

  • 光文社 (2006年11月9日発売)
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感想 : 72
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この新訳は落語調になっているときいたのでどうなんだろうと多少心配しながら読んだが、話となかなかあっていて読みやすく面白かった。
別の訳で読んだことがある人はどうおもうかはわからないけど…私はこれがはじめてだったので違和感は感じなかった。

『鼻』は、ある日鼻が顔からなくなっていてその鼻が服を着てそのへんを歩き回っており…という話でシュール。
これは落語調じゃなければ余計意味わからん…って思いそうな話ではあった。

『外套』は、貧しい役人が頑張って新しい外套を手に入れるものの…という話。
これは語り口のおかげで笑える場面も多かったが、基本的にはロシアの下層民の憐れさ、それでも生きているし尊重すべきであるというのがえがかれているのかなとおもった。
そういうところがドストエフスキーにも影響を与えたのかな、と。
一番面白かった。

『査察官』は、ドタバタ勘違いコメディな戯曲。
査察官でもなんでもない男を査察官だと勘違いした村の人々は…という話。
想像してたのはもっと暗い話だったのでこんなギャグみたいな話だったのかとびっくり。
いままでは検察官と訳されてたらしいけど査察官のほうがあってるらしい?
たしかに読んでみるとこれは検察官ではないよな、とおもった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外
感想投稿日 : 2021年9月10日
読了日 : 2021年9月10日
本棚登録日 : 2021年9月10日

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