大きな鳥にさらわれないよう

著者 :
  • 講談社 (2016年4月22日発売)
3.59
  • (69)
  • (83)
  • (106)
  • (34)
  • (6)
本棚登録 : 1023
感想 : 157
5

遥か未来、衰退していく人類が描かれる。
読むうちに子守唄のように穏やかなイメージが身体に満ちる。終末の静けさの中で、たおやかな母の愛に包まれた生命のひとつとなってこの物語を漂う。
ノアとカイラの物語と、みずうみの種族とそれを滅亡させた人の物語が特に心に残る。知らない存在を怖がり嫌うその人間の性質を、この読書によってなぞって自分の心の内を確認している気分だった。さまざまな能力を持つ者たちを、何も持たない自分がまるっと受け入れること、そう簡単じゃないのかもしれないと今は思う。
純粋で綺麗な言葉が紡がれる世界。争いのない世界は理想だが、競争心は芽生えず、たしかに子孫は残さないかもしれない。
まだ読み切らないうちに何度も遡り読み返した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年8月3日
読了日 : 2021年8月3日
本棚登録日 : 2021年4月5日

みんなの感想をみる

ツイートする