おだやか/静か/少しだけファンタジー/どこかにありそうでない町、どこかにいそうでいない人/ビートルズが出てきたり、まったく出てこなかったり/作者とはたぶん好みが似ているのだろうな、という感覚/中扉のイラストも味があって良い
その静かな声
キリントン先生
フールズ・ラッシュ・イン
の3編がとくによかった。
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●ろくろく
おー、この予告編だけの映画、昔同じようなことを考えたような。予告編って、ショートムービーなわけで、そのワクワク感、肝心なところは言わない感、好きなんだよなあ。これに限らず、ちょこちょこ共感できるポイントがある。
予告編への偏愛、分かる。俺の片岡義男好きにも、ちょっと通じる。
この短編にはビートルズもホワイトアルバムも出てこない。んー、全部入っているスタイルで通してほしかったかな。この作品自体は連載? 書き下ろし? 作中の前半では連載という記述あったけど。
ホワイトアルバムの通しナンバー、Aがつくのとつかないのがある。
ホワイトアルバムが、モチーフ。
●フェニクス
通しナンバーついてない。おや?
インタールードとしてとてもいい。こういうところも含めて、この人好きだなー。堀江に春樹とタルホを足したといったら乱暴か(笑)。
●ハッピー・ソング
200ページ
北の涯ての灯台に魅かれる、というのに惹かれる。
「北に何があるの?」
「何もない。だからいい。自分で作り出さなければならない」
●フールズ・ラッシュ・イン
港町の食堂の窓から、日曜の朝に降る霧雨を眺めている。窓ガラスには水滴がびっしりと付いている。向かいの売店の老犬は、頭を撫でると「ふぅん」と鼻を鳴らすような声を立てる。
- 感想投稿日 : 2019年2月28日
- 読了日 : 2019年2月27日
- 本棚登録日 : 2019年2月28日
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