SF魂 (新潮新書 176)

著者 :
  • 新潮社 (2006年7月14日発売)
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小松実は昭和6年生まれ,終戦時には中学生,機銃掃射をよけて逃げたり,焼夷弾を消したり,戦後は闇市で商売のまねをしたり,旧制高校1年で学制改革により,京都大学文学部イタリア文学を受験して入り直した。旧制高校時代は読書三昧。体育と保健を落として1年留年。大学時代の共産党反戦活動が尾を引いて就職できず,くず拾いのバイトをしたりしながら,総会屋雑誌を作ったり,同人誌を中心に文学活動も展開。父親の工場がつぶれかけて家業を手伝うが,うまく行かず,借金返済のためにラジオ放送の台本を書く。SFマガジンが創刊されるとコンテストに応募,小説で金を稼げるようになった。SF作家仲間ができ,万博を考える会がやがてテーマを考えて採用される事になる。やがて,日本沈没が空前のセラーを記録する。戦争体験が日本沈没を書かせるきっかけとなった。暫く名前を聞かなかったので死んだのかと思ったら,誰かのエッセイで小松さんの酒席に呼ばれる話を読んで,生きていることを確認し,日本沈没第2部が谷甲州との共著で出たことを知った。SFとは文学のすべての可能性を引き出す方法だと云っている。そうかもよ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2006年11月5日
読了日 : 2006年11月5日
本棚登録日 : 2006年11月5日

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