余命1年のスタリオン

著者 :
  • 文藝春秋 (2013年5月16日発売)
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感想 : 72
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気が進まなくて別の本に逃げていたんだけど読み進めると停まらなくなる~小早川当馬は35歳の俳優だ。大学の時,ただ就職するのは面白くないと,スタリオンボーイというミスターコンに出てグランプリを獲得し,モデルから売れない時期を経て,種馬という二枚目半の地位を築いた。小さな事務所で,主演映画を作ろうとするが,脚本だけができるいる状態で,新人マネージャーは他に就職できなかった冴えないポッチャリ女子の木内あかねだ。種馬らしい生活と言えば,年上の女優・同年配のモデル・年下のホステスという3人の女性と巧く付き合っている点だ。空咳が治まらないと受診してみると,肺癌の中でも手術はできない小細胞癌で1年後の生存率は50%と診断された。1年の内に遺作となるだろう映画は完成させたい。母と死ぬまでに何をやるかを考えろと言われても,それしか思いつかなかったが,小児癌のタケシという少年と話をして,癌患者が如何に差別され,その家族までも巻き込まれる点を改善したいと思いつき,癌の告知と映画制作発表を組み合わせた。助演女優は50を前にした元清純派女優を拝み倒した。タケシに励まされ,1回目の抗ガン剤治療を耐えた後のタケシの死は,もう一つの夢,自分の子を遺したいを心に灯した。恥ずかしくもモデルとホステスに自分の子を産んでくれないかと頼みたいのだが,切り出す前にホステスからは別れが切り出され,モデルは青年実業家の方に切り替えていた。真実の愛を捧げる主演女優が決まらないが,映画会社の大株主の俳優から自分も癌を克服したので頑張れと言う励ましをもらったついでに,ライバル映画の女優のレンタルを受けることに成功した。映画の撮影が開始されると,主演女優は大御所の子を妊娠していることが判明し,口利きを当馬は頼まれる。何と言おうか迷っている内に女優は流産し,子を産んでくれる女はいないかとマネージャーに相談すると,あかねは満更でもない様子だ。大学時代に唯一付き合っていた男を追っ払った夜から,当馬とあかねは一緒に暮らし始める。映画はなんとかクランクアップし,2クール目の抗ガン剤治療は体力を奪い,効果が現れない。余命一年と宣告された1年と数日後,日比谷でロードショーの舞台挨拶に立った当馬は,入籍と妻の妊娠を観客の前で告げた。治療は放棄し,緩和ケアを受けつつ,3月の妻の出産を待つ~途中,遠回りする感覚で,だれてしまったが,物語の世界に浸っていると,時々感動させられる。この話は逸見アナウンサーの話か? 山崎努の話? 金子の話? 石原プロは舘頼み!と実話を見ていくと,集中力が途切れてしまう。石田さん,流石ではあるけれど,できればIWGPの続きが読みたいです

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年6月18日
読了日 : 2013年6月18日
本棚登録日 : 2013年6月18日

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