いつものベッドのうえ。
読書灯を落として目を
瞑れば、
潮の匂いが波の飛沫が
生々しく吹きつける。
黒々とした海洋の畝り。
生のまま齧りつく魚の
その紅黒い血肉。
若い頃のように動かぬ
老体に鞭を打ち、
意識を失いかけながら
大魚が引く綱をたぐる。
ひととき船上の老いた
漁師となり、
戦後間もないハバナの
海を疾駆してきました。
けっきょく獲物は失い
ましたが、
荒ぶる自然にけっして
屈しなかった。
徒労感が心地よいです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年10月28日
- 読了日 : 2023年10月28日
- 本棚登録日 : 2023年10月28日
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