「君主論といえばマキャベリ!権謀術数!」
という教科書レベルの知識しかなかった。
読んでみる前は、陰謀とか暗殺とかスパイとか、想像たくましゅうしていました。
しかし、読んでみると、もちろんマキャベリがそんなエンタメを意識していたはずはなく・・・。
君主が権力を維持するためにすべきことを、淡々と描かれていました。
なかには、『殺るときは恨みを抱く者全員を一気に殺れ!』的な冷酷と読める文章も散見し、これが後のマキャベリの悪印象を決定づけてしまったようです。
しかし、これを『冷酷』と読むのは、我々の近現代的なヒューマニズムの価値観です。この感想をマキャベリが聞いたら、『そんな偏見に捕らわれているのかね、フフン』と笑われてしまうでしょう。
感情・先入観をまじえずに客観的に権力の維持を説く姿はまるで科学者のよう。この論考は権力に関心のある人には一読の価値アリです。
この本の思想は最後のほうで語られる
『われわれ人間の自由意志は奪われてはならないもので、かりに運命が人間活動の半分を、思いのままに裁定しえたとしても、少なくともあとの半分か、半分近くは、運命がわれわれの支配にまかせてくれている』
という一文に尽きると思います。
個人的にはマキャベリさんに
『臣民論~上司を手の中で転がす方法~』という本も残してもらいたかったと思います。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年2月25日
- 読了日 : 2013年2月25日
- 本棚登録日 : 2013年2月25日
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