サスペンス作家ジェフリー・ディーヴァーの邦訳短編集第2弾。
ディーヴァーというと、リンカーン・ライムシリーズなど、スピード感のある展開でグイグイ読ませる長編作家というイメージがありますが、短編の名手でもあります(彼いわく短編と長編を書くのでは『リンゴとジャイガイモ』ほどの違いがあるそうです)
本書『ポーカー・レッスン』はそんな短編の名手としてのディーヴァーに光を当てた作品集。
お気に入りは、電車の中、携帯電話でおしゃべりしていたことがきっかけとなり、人生の奈落の底にまで落ちる羽目になる『通勤列車』(マナー違反はこわいこわい)、19世紀末のプロの泥棒と科学捜査黎明期の警察との戦い『ウェストファーレンの指輪』(実は泥棒と戦っていた相手があの人なんです、ディーヴァーのサービス精神に思わずニヤッとするはず)、真犯人だろうがなんだろうが弁護を引き受けたからにはとことん無罪を勝ち取る辣腕弁護士の物語『一時不再理』(敗者と思っていた人物が勝者となるドンデン返しの快感!)
もちろん、リンカーン・ライムが登場する作品も収録されています。なかには物語のなかで活かされない、読者を騙すためだけの伏線を張り、そこが欠点のようにも思えましたが、この程度なら許されるという線引きがこの作家にはあるのではないでしょうか。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年5月22日
- 読了日 : 2014年5月22日
- 本棚登録日 : 2013年12月14日
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