感性の限界――不合理性・不自由性・不条理性 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2012年4月18日発売)
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本棚登録 : 1260
感想 : 106
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シリーズ三部作の最後をいきなり手に取ってしまいました。
順番に行くべきなのでしょうが、興味を持ったのがこちらからだったので。

できるだけわかりやすく、そしてトライしやすいようにシンポジウム形式で書かれているのでしょうね。
話の種的な、知的な考察についてのいろんな引き出しを増やすための本のように感じました。
これを読んで何かを深く理解したり納得したりというよりは、こちらを取っ掛かりにして深めていくためのきっかけ本なのでしょう。
内容は難しいですが、すごく工夫をしてできるだけ噛み砕いてという意図で書かれたことが伝わってきます。

「実存は本質に優先する」という言葉。初めて自分は知りましたが、ここに書かれたガリレオの例がとてもわかりやすい。そういうことかと納得。
そして生きている以上は何らかの生きてる証を残したいと考えるのが人の常なのではないかと常々思っていましたが、「人間にとって最も崇高なのはむしろ自分を捨てる『無私の行為』なのではないか」という言葉と、その言葉と共に書かれた史実に衝撃を受けました。
コルベ神父のお名前は耳にしたことはありますが、きちんと史実の内容を記憶していませんでした。

生きてる証を残すことばかりが崇高であるわけではないのですね。確かに、無私の行為はなかなかできることではないです。
難しく感じる内容もそれについての事例や説明がたくさんなされていて(そして時々脱線もしていますがそれもまた面白い)読み応えがあります。

あとがきの内容にも考えさせられました。
誰にでも薦められる本ではないですが、多くの人に読んで欲しい内容です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 精神、心理
感想投稿日 : 2015年3月31日
読了日 : 2015年3月30日
本棚登録日 : 2015年3月31日

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