一般的に、孝謙天皇は愛に惑い歴史的スキャンダルを起こした女性として、道鏡は天皇に取り入って権力を欲しいままにした人物として語られている。
しかしながらこの作品は、銅鏡を無垢で素直な人物として描き、孝謙天皇を藤原の血筋と天皇の血筋の狭間で生きた女性として描くことで、スキャンダルの背景にあったかもしれない一つの可能性を投げかけている。
女として生まれたことや母親へのコンプレックス、仲麻呂に恋心を利用されたことの哀しみと怒り、銅鏡を引き立てたもののそれは愛するものを利用する行為であったのではないかと気づき、純粋な愛を希求する姿。
孝謙天皇の心情の移り変わりは女性の心理を敏感にとらえていて、時折切なさも感じた。
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- 感想投稿日 : 2020年7月30日
- 読了日 : 2020年6月30日
- 本棚登録日 : 2020年6月30日
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