現役千葉市長である、熊谷俊人氏による著書。
当時全国最年少市長である著者は、財政の危機的状況である中、しかも前市長が汚職で逮捕されるというスタートという波乱の後に就任し、その信念をもって市長として職務にあたる姿が印象的です。
民間企業に就職後、市議会議員を経て市長となった著者は、民間企業の経験をもとに、行政の考えの特異性、無駄のある部分を指摘しつつも、行政ならではの事情を理解しつつ対応策を論じている点は、単なる公務員批判本ではなく、建設的な主張だといえます。
著書の中では大阪市の橋本市長との違いも指摘していますが、熊谷市長の考え方はより現実的かつ実践的であると思います。
単なる公務員批判・行政批判をすることで、公務員と住民を敵対関係にしていまうことの無意味さ、地方分権を突き詰めていくと住民自治になり、そのためには公務員だけではなく、市民にも意識改革が必要であるという明確なメッセージは、将来の地方自治のあり方にとって、とても重要であると考えます。
<この本から得られた気づきとアクション>
・首長としての明確な目的と覚悟がよく表れていると思う。そのような期待に応えられる公務員であるべきだと感じる。
・民間との違いを言い訳することを甘えだと指摘しているのはそのとおりだと感じる。官民の違いを踏まえたうえで、独自の考えに陥ってはならない。
<目次>
第1章 公務員は本当に無能なのか?―特殊な世界が生み出す市民とのズレ(そもそも「公務員」とはなんなのか?
公務員批判を拡大させた石肩上がりの終えん ほか)
第2章 市長と公務員の役割―私が決断した市政改革の幕開け(『脱・財政危機宣言』
“ハコモノ行政”の見直し ほか)
第3章 求められる公務員の意識改革―私と職員の向き合い方(公務員の意識の本質的な問題
民間とは違うという甘え ほか)
第4章 市民にも求められる意識改革―自分の街をもっとワクワクする街にしませんか?(燃えるごみを3分の1減らす真の目的
行政は市民のアドバイザー ほか)
- 感想投稿日 : 2014年5月18日
- 読了日 : 2014年5月17日
- 本棚登録日 : 2014年5月9日
みんなの感想をみる