劇団ひとりさんのデビュー作。
短編5作品で一つの構成となった小説。
読んでで感じたテーマは、タイトル通り"影日向に咲く"って感じがした。
不器用で勝ち組になれない(=陽の当たらない)人たちも生きている・生きて良いんだと主張しているように受け止めた。
全体を通しての感想だが、文章自体に大きな魅力は感じない。内容も短編なだけに結構薄い。
が、読みやすくすらすらと頭に入ってくるし、舞台のイメージもしやすい。影日向に咲くってメッセージの強さは十分に伝わってきた。
以下、各編の感想
『道草』
一番面白かった。というか、感心した。
出世街道を進むエリートサラリーマンがストレスで人生嫌になり、ホームレスの真似事をする話。
オチが秀逸で、さすがお笑い芸人だなと、、、
『背景、僕のアイドル様』
主人公はマイナーアイドルのファンで、
貢ぎすぎて生活に困窮し、残飯漁り中に道草の主人公と出会うと言う繋がりがある。
ホントに不器用な生き方をする主人公で、認知してもらえないと分かっていても応援する姿勢にある種の哀しさすら覚える。そして本人もそれを自覚している。そういう意味で切ない。
"アイドルを好きになった時点で失恋している"は良いフレーズ
『ピンボケな私』
主人公は道草に出てくるサラリーマンの娘。
本作品で一番不器用な生き方をしてる。
ほっこりする話かな。友人のミキがいい味を出してる。
これからいっぱい幸せになってください、と思わず応援したくなる。
『overrun』
ピンボケな私の主人公と少しだけ関わった駅員が主人公。
破滅型のギャンブラーと言えば聞こえはいいかもしれないが、ただのクズで小心者。
これ美談にしようとしてるけど、共感はできなかったな。
生き方も不器用というか、ダメ人間の典型だったし。
読んだ後で、人それぞれ感じ方が分かれる印象でした。
『鳴き砂を歩く犬』
全作通して出てくるお爺さんの若き頃の話。
正直一番理解出来なかった。誰も救われないし。
辻褄合わせたいだけのような。。。うーん。。。私にお笑いのセンスが無さすぎるのかも。
影日向に咲く花の下りを演出したいだけにしか感じれなかったのが残念。
- 感想投稿日 : 2020年3月1日
- 読了日 : 2020年3月1日
- 本棚登録日 : 2020年2月29日
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