日本人は集団主義でアメリカ人は個人主義という定説(?)を丁寧に解きほぐすことで、日本人=集団主義とは言えないと結論づけた良書。
国家間の協議や、社会学、文化比較などで、前提として日本人は集団主義という話が出て、聞き手も納得しているが、さまざまな統計データをもとにその思い込みを払拭してくれるところは壮快感すら感じる。
時代や国民性を語るとき、ある側面だけが妙にクローズアップされ、意図された結論のために利用される危険性も説いている。
たとえば、アメリカが日本に構造改革を迫る場合がそうだ。
日本は集団主義的で、排他的であるから世界と協調路線がとれていないと、一方的に責められる。
しかしこの本では、アメリカが911などで集団主義化した例をあげて、日本よりもむしろ集団主義になりやすいと解説する。
この本は、単なる社会学の本ではなく、日本人が自分たちをもう一度見つめ直すきっかけをつくることで、心の中にある枷を取り払う第一歩になるのではないかという、提言書である。
今日のあらゆる外交上の失敗や、いわれなき国際的批判を受け入れてしまう日本人の深層に、ぐさりとメスを入れた、すばらしい本です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
社会
- 感想投稿日 : 2012年1月16日
- 読了日 : 2009年6月13日
- 本棚登録日 : 2012年1月16日
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