狼狽した。
久しくこの手の本を読んでいなかった。
物語の中盤まではひどくとっつきにくく、覚えにくい登場人物と硬い文体をうらめしく思ったものだった。
だがしかし。
中盤以降、主人公が外の世界へ飛び出してからは、その展開と世界の描写に息を飲んだ。どうすればこんな世界が想像できるのだろう?なぜこんな描写ができるのだろう?この作者はいったい何者なのだ。この物語に結末はつけられるのか?
文庫版の裏表紙に「ピカレスクロマン」とあった。それがどういうものか知識も経験もなかったが、なるほどこれがそれなのか。と、妙に納得する物語であった。
ごく時折の主人公のモノローグは胸に迫る。今でもなお、この主人公は世界のそこらじゅうにいるに違いない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
絵巻物語
- 感想投稿日 : 2010年8月29日
- 読了日 : 2010年8月29日
- 本棚登録日 : 2010年8月29日
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