海嘯

著者 :
  • 幻冬舎 (1999年11月1日発売)
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本棚登録 : 35
感想 : 9
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人の情念、そして夢幻。1行1行が胸に突き刺さり、一言一言が胸をえぐる。永く詩人として歌に携わる著者は、やはり言葉の力を知っている。物語の行方を知っている。今あらためて、中島みゆきと同時代に生きた幸せを噛みしめる。
詩であり、小説であり、ミステリーであり、文学である。どんな小説家の言葉よりも、みゆきさんの言葉は胸に刺さる。記憶に残る。すべてを包み込み、すべてを語る海。そしてすべてを飲み込む海。人生のすべてと引きかえにたったひとつだけ叶う願い。それを憎しみではなく、彼女は新しい命の誕生に捧げた。その決断は、苦しく、切ない。だけど、物語にとっては最高の結末だった。そして、1960年・・・。だめだ。もう涙が止まらない。

図書館の「詩歌」コーナーにありました。「小説」コーナーに置いて、もっとたくさんの人に読んでもらいたい本です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 力技
感想投稿日 : 2017年1月17日
読了日 : 2017年1月17日
本棚登録日 : 2017年1月17日

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