ドラッカー名著集2 現代の経営[上] (ドラッカー名著集 2)

  • ダイヤモンド社 (2006年11月10日発売)
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本著は経営学の最高の古典、経営の原点、経営の常識と言われています。経営のために必ず読まなければならない本を一冊あげるならば本著だといわれています。

確かに原理原則が丁寧に説明されてあって、どの章も考え深く構成されています。

本著は一回読んだだけでは真髄に触れるまでいかないでしょう。経営者であるなら自分自身の自己啓発というか成長や改革改善につれて、感銘を受ける箇所が変わってくるように思えます。

今読み終わって印象に残った部分はおそらく二回目読んだときは輝きを失い、別の箇所が輝いている、といった書です。だからこそ古典といわれるのでしょう。要再読。

以下印象に残った文章。

・企業の目的は、それぞれ企業の外にある。事実、企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。

・企業経済学の指導原理は利益の最大化ではない。損失の回避である。企業は事業に伴うリスクに備えるために、余剰を生み出さなければならない。リスクに備えるべき余剰の源泉は一つしかない。利益である。

・目標なるものは鉄道の時刻表ではない。それは航海のための羅針盤である。それは目的地にいたる航路を指し示す。

・ほとんどの企業において、経営管理者は最も高価な資源である。最も早く陳腐化する資源であって、最も補充を要する資源である。彼らのチームを築くには数年を要する。しかし、それはわずかの間の失敗によって破壊される。

・ヘンリー・フォードの失敗の根因は、10億ドル規模の巨大企業を経営管理者抜きにマネジメントしようとしたところにあった。彼はその秘密警察のおかげで、他の役員が行おうとする決定をすべて知ることができた。彼が必要としていたのは技術者だけだった。

・組織の文化は、それを最初に形成した人たちがいなくなったはるか後においても生き続ける。それは、新しく入ってくる者の姿勢と行動を規定する。組織の中で成功する者を決める。組織が卓越性として認め報いるべき者を決める。また凡庸として無視すべきものを決める。さらに組織内の人間が成長するか、いじけるかを左右する。健全に育つか、育ち損なうかを左右する。組織の卑しい文化は卑しい経営管理者をつくり、偉大な文化は偉大な経営管理者をつくる。

・マネジメントのセミナーでよく取り上げられる話に、何をしているのかを聞かれた三人の石工の話がある。一人は「これで食べている」と答え、一人は「国で一番の仕事をしている」と答え、一人は「教会を建てている」と答えたという。もちろん、第三の男があるべき姿である。第一の男は、一応の仕事をする。報酬に見合った仕事をする。問題は第二の男である。

・経営管理者に与えられる決定権限については一つの簡単なルールがある。GEの電灯事業部の経営憲章は、アメリカ合衆国をもじって、「明確かつ成文をもって上位のマネジメントに留保されていない権限は、すべて下位のマネジメントに属する」と定めている。

・「重要なことは、できないことではなく、できることである」。自己管理による目標管理は、何をなすべきか教える。適切に仕事を組織するならば、誰でもそのなすべきことをなしうるようになる。しかし、それを実際になさしめるものは組織の文化である。

・一度も間違いをしたことのない者、それも大きな間違いをしたことのない者をトップマネジメントの仕事につかせてはならない。間違いをしたことのない者は凡庸である。そのうえ、いかにして間違いを発見し、いかにしてそれを早く直すかを知らない。

・ナポレオンに抵抗する唯一の国を率いて、国民に勇気と決意とリーダーシップを示した小ピットは、私生活でも高潔な人だった。公正だった。誠実な夫であり父だった。彼が若くして天国の門をくぐろうとしたとき、聖ペテロが「天国に入れると思うのか」と聞いた。小ピットは「賄賂も受けず、愛人も持たなかった」と答えた。しかし聖ペテロは「しなかったことには興味がない。何をしたのか」と再び聞いた。

・組織の文化はトップから形成されていく。士気の高い組織はトップの士気が高い組織である。組織の文化が腐るのはトップが腐るからである。木は梢から枯れる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス・経済・経営
感想投稿日 : 2011年11月27日
読了日 : 2011年11月27日
本棚登録日 : 2011年11月13日

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