リーダーの教養書 (News Picks Book)

  • 幻冬舎 (2017年4月27日発売)
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リーダーは教養を持ちましょう。ということで、様々な教養を得る本を解説。

・「教養」という言葉は明治期に翻訳されて定着した日本語。もともとは「リベラルアーツ(自由の技術)」

・教養の定義は、人が他者に強制されず、自分自身でつくりあげていく独自の「価値基準」を持っていること

・人間は知りたいと思ったときが一番勉強できるし、それを人に話すことでさらに理解が深まる
・誰しも何らかの形でチームで仕事をする。人間最大の労働条件は「上司」
・トップに立つ人間に教養があれば様々な物事に理解が有るため、社員はみな元気で明るく楽しく過ごせる
・教養がないような「激動おじさん」だったら、部下は上司が騒ぐたびに右往左往させられる
・教養が無ければ人生を楽しめないので、職場を楽しくすることも出来ないし、部下も楽しく過ごすこともできない
・基本的には何かが起きた時に、わからないことを決めるのがリーダーの役割。
・リーダーが右往左往したらろくなことがない。「ゆっくり急ぐ」ための時間軸を取るだけの教養がなければいけない。
・普通の人間の判断は、データが足りない中でしなければならない。「要するに」と抽象化する能力で「直感」というべき「論理的な確信」が無ければ判断はできない
・日本では「根拠なき精神論」があまりにも多い。「若いときは徹夜するくらい仕事しないと、仕事は覚えられない」などと言うおじさんは山ほどいる。そういうおじさんには「多分、僕が不勉強なだけだと思いますので、若いときの長時間労働がその人の生産性をどう上げたかについての論文やデータでも何かあったらぜひ送って下さい」と伝えている。送られてきたことはない。
・ドイツ第三帝国が、自国の敗北が見えてくるにつれて精神論で突き進むようになっていった。「精神論だから負けた」が一般的な理解だが、負けがこむウチに精神論になる。

・人間観は2つに分けられる。「人間は愚かでどうしようもない動物だから、それほど賢い判断は不可能だ」とする考え方と、「人間はなかなか立派で賢い動物だから、ちゃんと教育して育てればリーダーは育つ」とする考え方。(筆者は前者)

・大脳生理学者の研究では、人間の脳の構造からしてリテラシーの高い人ほどコロコロと自分の意見を変える傾向がある。相対的に賢い人でもコロコロ意見を変える。

・本を選ぶ時にオススメなのは、まずは表紙のきれいな本を選ぶこと。表紙がいい本は、出版社も力を入れているので、優れた本が多い

・教養は、ある人の電話のとり方やご飯の食べ方、机の整理の仕方など具体的な一挙手一投足にも表れる。人のかばんの中に何が入っているのか、オフィスのデスクの上がどうなっているのかといったことからも、その人となりをうかがい知ることができる。そのような断片にも、その人がどのような人間観なり哲学を持って生きているのかが反映されている。
 なので、一挙手一投足をずっとそばで見ているというのは、学びの手法としてきわめて優れている。

・皆が入社年次に応じて「さん付け」や呼び捨てを徹底して使い分けていた。30年近くこのルールでやってきたが、ゼロから会社を作ったときに、年齢フリーで定年のない会社にしようと決めたので論理必然的に全社員を「さん付け」で呼ぶことに決めた。一度決めてしまうと、苦労なく呼べる。

・特に若いビジネスパーソンは「何をするか」と同時に「何をしないか」をよく考えるべき。

・色々選択肢がある時は、できるだけ一つに絞ったほうが良い。これも正しい、アレも正しいと考えてしまうと、結局何もできなくなってしまう。

・ビジネスを成功させる上でも、上司や部下との関係構築のためにも、リーダーには歴史の教養が不可欠。人間観の洞察に長けた人が職場にいれば、きっとその職場は楽しい雰囲気になる。歴史における様々な人物の立場を勉強してきたリーダーであれば、他社の立場に立って物事を考えることが出来るようになる。
・人間の脳は1万3000年前から変わっていないことが、科学的に証明されている。

・単なる情報と教養の違い。情報はそれを得た後の「行動」に繋がらない。
・今日の円ドルレートが昨日よりも円高に動いていた。「ああ、今日は円が少し高くなったな」情報が示せるのはそこまで。そこから先、何を考えてどう行動するかは情報を受け取った人の知的能力に依存する。同じ情報でも、受けての知的能力によってその後の成行はまるきり変わってくる。

・プレゼンテーションの教科書に書いてあるノウハウは、定型的・標準的な知識。「人ができることを自分もできる」は仕事においてゼロに等しい。
 標準を知っているというだけでは、知的な活動で独自の価値を生み出せない。
 教養は「その人がその人であるため」の知的基盤
・世界的に見ても、明治期の日本ほど金融資本主義的で労働流動性の高い社会はなかった。「アメリカのように長期雇用で労使一体の体制を作らなければ日本の重工業は発展しない」というのは当時の日本での典型的な「日本的経営」に対する批判だった。今とまるで逆の話なのが面白い。

・選択肢A、B、Cがあり多数決でAに決まるとする。しかし、BとCを足した「Aに反対する」意見が「Aに賛成する」よりも多いという矛盾が発生する。
 より優れたものとして「ボルダルール」を勧める。選択肢が3つあれば、1位に3点、2位に2点、3位に1点で投票させ、特典の総和で選択肢を順序付ける。

・組織を解凍するには「フォロワー」を増やしていくことが肝要だが、この好例がJAL入社時に現場のメンバーに感謝の手紙を書いた稲盛和夫氏だ。

・ビジョンは、組織を動かすリーダーが「フォロワー」を作っていくときの「共通言語」になる

・リーダーとは、自らが組織を先導して引っ張っていくというよりも、構成員それぞれがイノベーティブに活動できるような環境を整える「羊飼い型」であるべきだ

・むしろ書籍は、エンジニアとして長続きするために大切なことを教えてくれる。それは、そのプロダクトをなぜ作るのか、どんな価値を提供するのかといった「哲学」の部分
・受託する仕事だけ行っていてもエンジニアとして食べていくことはできる。しかしそれでは、成長機会が限られているだけでなく、そもそも造り手としてモチベーションが上がらない。仕様書だけをもらって「このとおり作って」と言われることほどつまらない仕事はない

・文章はものを伝える道具だ。「まずは結論を示す」「一文はできるだけ短くする」「必要以上の修飾語は排除する」といった、構造的な文章を書くべき

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・「リーダーシップの旅」リーダーシップについて、体系的に習得できる
・「結果を出すリーダーはみな非情である」これからのリーダーが読むべき、30台からの鍛える意思決定力
・「理科系の作文技術」
・「睡眠の科学」原理的に睡眠の解説をしている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年9月1日
読了日 : 2021年8月28日
本棚登録日 : 2021年8月28日

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