失はれる、…別れなどがテーマになっている短編集。
とっても良かったです!!
乙一さんが、書く主人公は人付き合いが苦手な孤独で内向的な人が多くて…、その描写もとても上手いと凄く感じた。切ない辛いお話が多いのだが、それだけではなくて人に対する優しさも感じられて終わるところが凄く好きだなぁと思った。
『Calling you』
女子高生の妄想の携帯電話がつながるという…ちょっと時間SF的な…お話。切なさと優しさを感じられる作品。
作中に出てくる携帯電話の着信メロディが、映画『バクダット·カフェ』のテーマ曲『Calling you』。聴いてみたらズーンと心に沁みて素敵な曲だった。一度聴いたら忘れられない曲だと感じた。
『失なはれる物語』表題作
主人公の男性が交通事故にあい、植物状態となってしまう。意志の疎通が出来るのは右腕だけの皮膚感覚と、人差し指を少し動かすだけ。そんな夫を献身的に支える妻との切ない愛の物語。これも、ラストが苦しく悲しく辛い……。そしてとても深い内容だと感じた。
『しあわせは子猫のかたち』
自分の住んでる家の前の住人の○○○○も、一緒に過ごしていることを受け入れて……。ある謎を解いていく…という不思議な作品。以前に読んだ『暗いところで待ち合わせ』という作品を思い出させるような世界観は、やはり好み。
『傷』
負った傷や痣などに手を触れるとその傷は自分に移るという特殊能力を持つ小学生のアサト。その友達である主人公のオレとの友情物語。身体だけではない心の傷を負う二人の友情に感動した。
『ウソカノ』
ついつい彼女がいるとウソをついてしまったことから始まる……お話
『手を握る泥棒の物語』
泥棒に入り姿を見せずに、手だけを掴まれてしまった女性とのやり取りがコミカルで可愛いと思った。
『マリアの指』
不気味な、怖さもあるちょっと後味の悪い作品だと思った。でも主人公の僕の優しさを感じて救われるように感じて読んだ。
『ボクの賢いパンツくん』
同じタイトルでこちらは長崎訓子さんの絵本でも出ている。イラストも素敵でそちらもオススメ!(笑)
ずっと読もうと思っていた積読本の一冊でした。ちょうど、乙一バトンのレビューも目にしたのでこの機会に読めて良かったです!!
あゆみりんさん、バトンの皆様
ありがとうございました。
この乙一バトンが、また、どなたかに渡りますように………
- 感想投稿日 : 2023年3月5日
- 読了日 : 2023年3月5日
- 本棚登録日 : 2023年3月5日
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