ミステリー史上最大級の驚愕の結末と、言われている本作。とても有名な、十画館の殺人。
ずっとずっと読もうと楽しみにしていた久しぶりのミステリー作品。やっぱりとても面白かったです。
読みはじめから、私は、犯人かな?と怪しんでいた人が、たまたま大当たりしてしまって、自分でも、まさか?とあっけにとられました。途中から、この人でないよね??と思っていたので、そうなんだあ…、という感じではあって、不思議な気分になりました。
でも、まさかの同一人物だということは分からずに、まんまと騙されました。そして、犯行のトリックまでは、もちろんわからなくて色々とビックリしました。以前に同じ場所で起こっていた事件と、今回のミステリー研究会のメンバーの事件の、ダブルでの謎解きの構成ということで、複雑でもありました。島と本土で繰り広げられるミステリー。これが、綾辻行人さんのデビュー作だなんてほんとうに凄い人だなあ、と改めて思う作品でした。
犯人は、こんなに酷い大量殺人計画を立て、実行するなんて、さぞかし、ものすごい動機があるのでは?と、普通に思いました。でも、動機としては弱く感じられたので、えーそんなことで…、残酷に殺されたお友達が可哀想過ぎると、憤りさえ覚えました。犯人の気持ちは私には到底全く理解できなくて、酷いなあと思いました。
でも、もう一度プロローグを読み返したりして、犯人の内面が、切々と綴られているのを読みなおすと、そんな理由であっても、犯人としてはやっぱり鬼気迫る程のものがあって、それにはどうしても引き込まれてしまうのを感じました。
『分かっている。どう正当化してみても、これから
行おうとしていることは正気の沙汰ではない…。単なる一過性の感情ではない。もはや魂の叫びであり、生きる拠り所であり、存在理由ですらあるのだ……』
そして、復讐を終えてのエピローグ。 そこでは
「胸のなかに、つまっていたものの全てが抜け落ちて しまった…」
という心理描写がありました。
そして
最後の最後に驚きました。
プロローグで、犯人がはじめにしたことが……
なんと、信じられないことに…
エピローグでの驚きの展開に
つながってくるのです。
そんなラスト…、衝撃的過ぎます…
私はそこで、いちばん心が震えました。
少し前にアガサクリスティの、
「そして、だれもいなくなった」を、読んでいて、大好きな作品でした。本作でどのようにオマージュされているのか、とても興味がありました。
読んでみて、どちらの作品もほんとうに凄い作品だなぁと、感動しました。
- 感想投稿日 : 2022年9月28日
- 読了日 : 2022年9月27日
- 本棚登録日 : 2022年9月27日
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