十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2007年10月16日発売)
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本棚登録 : 35800
感想 : 3231
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ミステリー史上最大級の驚愕の結末と、言われている本作。とても有名な、十画館の殺人。
ずっとずっと読もうと楽しみにしていた久しぶりのミステリー作品。やっぱりとても面白かったです。

読みはじめから、私は、犯人かな?と怪しんでいた人が、たまたま大当たりしてしまって、自分でも、まさか?とあっけにとられました。途中から、この人でないよね??と思っていたので、そうなんだあ…、という感じではあって、不思議な気分になりました。
でも、まさかの同一人物だということは分からずに、まんまと騙されました。そして、犯行のトリックまでは、もちろんわからなくて色々とビックリしました。以前に同じ場所で起こっていた事件と、今回のミステリー研究会のメンバーの事件の、ダブルでの謎解きの構成ということで、複雑でもありました。島と本土で繰り広げられるミステリー。これが、綾辻行人さんのデビュー作だなんてほんとうに凄い人だなあ、と改めて思う作品でした。

犯人は、こんなに酷い大量殺人計画を立て、実行するなんて、さぞかし、ものすごい動機があるのでは?と、普通に思いました。でも、動機としては弱く感じられたので、えーそんなことで…、残酷に殺されたお友達が可哀想過ぎると、憤りさえ覚えました。犯人の気持ちは私には到底全く理解できなくて、酷いなあと思いました。
でも、もう一度プロローグを読み返したりして、犯人の内面が、切々と綴られているのを読みなおすと、そんな理由であっても、犯人としてはやっぱり鬼気迫る程のものがあって、それにはどうしても引き込まれてしまうのを感じました。

『分かっている。どう正当化してみても、これから
行おうとしていることは正気の沙汰ではない…。単なる一過性の感情ではない。もはや魂の叫びであり、生きる拠り所であり、存在理由ですらあるのだ……』
そして、復讐を終えてのエピローグ。 そこでは
「胸のなかに、つまっていたものの全てが抜け落ちて しまった…」
という心理描写がありました。

そして
最後の最後に驚きました。
プロローグで、犯人がはじめにしたことが……
なんと、信じられないことに…
エピローグでの驚きの展開に
つながってくるのです。
そんなラスト…、衝撃的過ぎます…
私はそこで、いちばん心が震えました。

少し前にアガサクリスティの、
「そして、だれもいなくなった」を、読んでいて、大好きな作品でした。本作でどのようにオマージュされているのか、とても興味がありました。
読んでみて、どちらの作品もほんとうに凄い作品だなぁと、感動しました。


 


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年9月28日
読了日 : 2022年9月27日
本棚登録日 : 2022年9月27日

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コメント 4件

かなさんのコメント
2022/09/28

チーニャさん、こんばんは!
「十角館の殺人」読んだのですね(^^)
チーニャさんのレビュー読んで、私も読みたくなってきました!
でも、図書館から借りている本もまだ沢山あるし…
「十角館の殺人」は手元にある自分のものなので
ついつい落ち着いてから読もう…そう思ってまだ読み返していないけど、
やっぱ、読んじゃおうかな…
でも読むと、館シリーズ全部読みたくなる(^^;)
でも、読みたい!!とか…思うのって、ホント贅沢ですよねぇ…。

チーニャ、ピーナッツが好きさんのコメント
2022/09/28

こんばんは!遅くまで起きているんですね!良い本を読んで贅沢な時間をもてましたよ。
しかし…、やっと読めましたよお。
かなさんに報告のコメントしようと思ってました。(笑)

アールグレイさんのコメント
2022/09/28

チーニャさん(^_^)/こんにちは

この本は、読んでみたい本の中の1冊でした。
――同一人物?――犯人って・・・・それって?
(´ヘ`;)??

チーニャ、ピーナッツが好きさんのコメント
2022/09/28

アールグレイさん、こんにちは~
是非とも、読んでみてくださいね…
フフフ

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